「一日に20回チャンスがあります。」
初心者だった私は、その言葉に飛びつきました。
5分足。
1分足。
数分待てば、またエントリーポイントが来る。
「練習量も増えるし、早く上達できそう。」
そう思っていました。
実際、一日に2回しかトレードしない人より、20回トレードする人のほうが、経験値は10倍あるように見えます。
でも、今振り返ると。
私が積み重ねていたのは経験ではなく、「感情の揺れ」でした。
1回勝つ。
次に負ける。
また勝つ。
また負ける。
チャートは数分しか見ていないのに、
頭の中では、
「やっぱりこの手法はダメかもしれない。」
「ロットを上げれば取り返せる。」
「今度こそ取り返したい。」
そんな独り言が、一日中止まりませんでした。
ここで、多くの人が勘違いしていることがあります。
例えば勝率50%の手法だったとします。
10回トレードすれば、
5回勝ち、5回負け。
100回トレードすれば、
50回勝ち、50回負け。
数字だけ見れば同じ勝率です。
でも、人間の心は数字では動きません。
心理学にはプロスペクト理論という考え方があります。
簡単に言えば、
人は「1万円儲かった喜び」よりも、「1万円失った苦しみ」をずっと強く感じると言われています。
つまり、勝ちと負けを繰り返す回数が増えるほど、負けの痛みを感じる回数も増えていくということです。
ここが、とても厄介でした。
私は「早く勝てるようになりたい」と思って短期足ばかり見ていました。
ところが実際に増えていたのは、
チャートを見る時間ではなく、
負けに心を揺さぶられる回数だったんです。
すると、少し勝てるようになった頃から状況が変わりました。
「せっかく勝った。」
「この利益だけは失いたくない。」
その気持ちが強くなるほど、
一回の負けが何倍にも重く感じるようになりました。
その結果、
手法を疑う。
インジケーターを追加する。
ロットを変える。
リベンジトレードをする。
昨日まで信じていたルールを、今日には捨ててしまう。
私はそんなことを、何度も繰り返していました。
「時間軸を長くする」という選択肢を知ってから、少し楽になった
もちろん、私は今でも短期トレードを否定しているわけではありません。
実際、今も15分足を使ってトレードすることはあります。
だから、「短期足はやめましょう」と言いたい記事ではありません。
ただ、初心者だった頃の私に一つだけ伝えられるなら、こう言うと思います。
「まずは、自分の心が耐えられる時間軸で経験を積んでもいいんじゃない?」
と。
短期足は、優れた武器です。
でも、その武器を扱うたびに心が大きく揺さぶられ、ルールを破り、リベンジトレードを繰り返してしまうなら、まだ少し早かっただけなのかもしれません。
時間軸を長くすると、チャンスは減ります。
でも、それ以上に減るものがあります。
それは、「感情が大きく揺れる回数」です。
一日に20回、勝ったり負けたりする世界と、
一週間に数回、落ち着いて判断する世界では、
同じ勝率50%でも、心の疲れ方はまるで違います。
その余裕があるだけで、
「今回は負けた。でも次を待とう。」
と思える場面は、少しずつ増えていきました。
私が苦しかった本当の理由
今だから言えることがあります。
当時の私は、
「勝ちたい。」
と思っていたようで、
本当は、
「負けたくない。」
という気持ちに支配されていました。
だから、一度勝つと苦しくなったんです。
利益を増やしたいのではなく、
利益を失いたくない。
この心理が、少しずつ私のトレードを歪ませていました。
損切りをためらう。
利確を急ぐ。
チャンスなのに見送る。
見送ったあとに飛び乗る。
ルールより感情を優先する。
どれも当時は、
「今日だけ。」
と思っていました。
でも、その「今日だけ」が積み重なるほど、自分のルールを信じられなくなっていったんです。
そして気付けば、
手法ではなく、自分自身を疑うようになっていました。
勝てるようになりかけた人ほど、実は危ない
ここまで読んで、
「今の自分かもしれない。」
と思った方もいるかもしれません。
もしそうなら、一つだけお伝えしたいことがあります。
あなたが苦しいのは、必ずしも手法が悪いからではありません。
むしろ、少しずつ勝てるようになってきたからこそ、新しい壁にぶつかっている可能性もあります。
実はこの壁は、とても見えにくいんです。
負け続けている頃には存在しなかった悩みだからです。
だから、多くの人は原因をチャートに探します。
インジケーターを増やしたり、新しい手法を探したり、SNSで「聖杯」を探し続けたり……。
でも、私が何度も遠回りしたあとに気づいたのは、
崩れる原因は、チャートの中ではなく、自分の心の中にある「ある思い込み」でした。
あの頃の私に、一番読ませたかった記事があります
この記事では、「一度勝つと苦しくなる理由」を、短期トレードと心理学という視点からお話ししました。
でも、それだけでは私自身は変われませんでした。
本当に変わり始めたのは、
「勝てるようになりかけた人ほど、なぜ崩れるのか。」
その仕組みを理解してからです。
そこには、プロスペクト理論だけでは説明できない、もっと根深い落とし穴がありました。
私はその落とし穴に気づかず、「あと少しで安定」というところで何度も振り出しに戻っています。
だからこそ、もし今あなたが、
- 勝てる日もあるのに安定しない
- 利益を守ろうとして逆に崩れる
- ルールを作っても、なぜか破ってしまう
- 「あと一歩」のところで毎回失速してしまう
そんな感覚を抱えているなら、次の記事はきっと無関係ではありません。
あの頃の私は、「手法の話」だと思って読み始めました。
でも読み終えたとき、問題はチャートではなく、自分の考え方にあったことを初めて認められました。
もしあなたも今、「勝てるようになりかけたのに、なぜか苦しい」と感じているなら、一度だけ読んでみてください。
きっと、今までとは違う角度から、自分のトレードを見つめ直すきっかけになると思います。

まとめ
FXは、一度も勝てない時期も苦しいものです。
でも、不思議なことに、一度勝てるようになってからのほうが苦しく感じる人も少なくありません。
その理由の一つは、人間が利益よりも損失を強く感じる心理を持っていること。
そしてもう一つは、その心理が、短期トレードのように売買回数が多い環境では、より強く刺激されやすいことです。
だからといって、短期トレードが悪いわけではありません。
ただ、「自分の心がまだ耐えられない」と感じるなら、少し時間軸を変えたり、売買回数を減らしたりするだけでも、トレードとの向き合い方は大きく変わることがあります。
私自身、それに気づくまで遠回りをしました。
この記事が、あなたにとってその遠回りを少しでも短くするきっかけになれば、とても嬉しく思います。
本日も、お読みいただき有難うございました。
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