「家族のために稼がないといけない」
「家計を助けないといけない」
「ここで負けたら終わりだ」
こういう思いでチャートを見ている方、少なくないと思います。
実は自分も、まさにそうでした。
まだ故郷にいた2015年の初夏。
家業の不振をなんとかしたくて、親を助けたくて、FXに手を出しました。
動機としては立派だったし、その気持ちはとても自然なものだったと、当時を振り返ってみても思います。
ただ、トレードという世界においては、その“立派さ”が思わぬ方向に働いてしまうことがありました。
それは、「負けられない理由」が強すぎることで、トレードが歪んでしまうということです。
本来、トレードは
・負けることを前提にした世界で
・確率で積み上げていくもので
・淡々と繰り返す作業に近いものだと思います。
ですが、背水の陣で臨んでいると、この前提が崩れてしまいます。
1回の負けが、ただの損失ではなく、
「家族の期待を裏切ったような感覚」になってしまうのです。
そうなると、
損切りができなくなったり、
ロットを上げて取り返そうとしたり、
ルールを守る余裕がなくなったりします。
冷静さよりも、「なんとかしなければ」という気持ちが前に出てしまいます。
そして気づけば、
教材費を支払い、
さらに相場で負け、
「ここまで来たのだから取り返さないと」と引き返せなくなる。
いわゆるサンクコストバイアスに深くはまっていきました。
当時の自分も、まさにその状態でした。
ですが、あるときふと気づいたのです。
「このままの状態では、誰も救えないのではないか」と。
少し冷たく聞こえるかもしれませんが、
“重すぎる動機”を抱えたままでは、トレードで勝てる構造になっていませんでした。
そこで、自分は意識を少しずつ変えていきました。
最初にやったのは、
「誰のためでもなく、自分のためにトレードする」という状態に戻すことでした。
そしてもう一つ、大きかったのが、
「お金を稼ぐためにトレードする」という意識を、一度手放すことでした。
これは一見、矛盾しているように感じるかもしれません。
ですが、この二つは同じ根っこでつながっていました。
「家族のために勝たなければならない」も、
「お金を稼がなければならない」も、
どちらも“結果をコントロールしようとする意識”です。
しかし、トレードにおいて結果はコントロールできません。
コントロールできるのは、
・ルールを守ること
・リスクを管理すること
・自分の行動を整えること
このあたりだけです。
つまり、
「誰かのため」も「お金のため」も一度脇に置いて、
ただただ“良いトレードをすること”に集中する状態こそが、
トレードにおいて最も自然で、再現性のある状態だったのです。
自分の場合、そこに戻ってから、ようやく変化が出始めました。
負けても、「ただの1トレード」として処理できるようになり、
勝っても過剰に期待しなくなりました。
その結果、
損切りができるようになり、
ロットを守れるようになり、
ルールを守れるようになりました。
派手さはありませんが、
ようやく“積み上がる土台”ができた感覚がありました。
ここでお伝えしたいのは、
「家族のために頑張ることが悪い」という話ではありません。
その気持ちは、とても大切にしていいものだと思います。
ただ、それを“トレード中に持ち込まない”ほうがいいのではないか、ということです。
トレード中は、できるだけフラットに。
お金のことすら一度忘れて、
ただ良いトレードを積み重ねることだけに集中する。
そしてトレードが終わったあとに、
「この積み重ねが、いずれ誰かのためになる」と考えればいいのだと思います。
順番の問題です。
いきなり誰かを救おうとすると、
自分の足場が崩れてしまいます。
まずは、自分が崩れない状態を作ること。
その結果として、誰かを支えられる状態に近づいていく。
遠回りに見えるかもしれませんが、
自分にとってはそれが一番現実的な道でした。
もし今、
「もう後がない」
「ここで勝たなければ終わる」
そんな気持ちでチャートを見ているなら、
一度だけでいいので、こう考えてみてください。
「この1回は、何のためでもなく、ただ良いトレードをする」と。
それだけで、
少しだけ視界がクリアになるかもしれません。
ここまで読んでくださったあなたは、もう薄々感じているかもしれません。
FXで勝てない理由は、手法そのものではなく、その“向き合い方”にあることが多いです。
自分がどん底から抜け出すきっかけになったのも、まさにそこでした。
ある一つの視点に気づいたとき、これまでの負け方の意味が一気につながりました。
もし今、「努力しているのに結果が出ない」と感じているなら、
この話はきっと無関係ではありません。
私の恥ずかしい過去、もがき苦しんだ末にたどり着いた境地について、余すことなく書いた記事です。
お時間のある時にでもご覧ください。
※読み終えたあと、今までのトレードの見え方が少し変わるかもしれません
本日も、お読みいただき有難うございました。


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