徳と信用が人生を好転させる
人の一生を振り返ったとき、能力や学歴、財産の多寡よりも、最後に残るのは「人としてどう生きたか」という徳や信用ではないか――。最近、そんなことを痛感させられる出来事がありました。
以前、ブログやnoteでもふれましたが、私は商売上の苦境をきっかけに、実の家族と深刻な確執を抱え、思いもよらぬ”絶縁”を経験しました。その喪失感は言葉にできないほど大きく、「なぜこんなことに」と自分を責め続ける日々がありました。それは、心療内科に、しばらくの間通い続けるほどのダメージでした。今でも「あのとき、こうしていれば」と悔やむ気持ちがふと顔を出します。決して自分だけが正しかったとは思いません。不肖の息子であったと自覚もあります。
そんな折、私にとって第二の親ともいえる存在、生け花の師匠(御年93歳)に再会しました。先生は認知症が少しずつ進んでいるものの、弟子が献身的に寄り添っており、安心して余生を送られていました。過去の記憶は鮮やかに残っているため、昔話を中心に語らう時間は、懐かしくも温かいひとときでした。
先生に近況を尋ねられ、私はこう答えました。「実の家族とは縁を切る結果となりましたが、今は妻も、義理の両親も、祖母も、親戚もみんな本当にいい人で、ありがたい環境に恵まれています」と。すると先生はすかさずこう言いました。
「それはあんたの人徳やよ」
その瞬間、私は言葉を失いました。なぜなら、私自身はむしろ不徳の結果として実家との縁を失ったと思っていたからです。「人徳」などという言葉をかけてもらう資格が自分にあるのか――。違和感と戸惑いが胸を満たしました。
しかしその言葉を反芻するうちに、次第に気づいたことがありました。人徳とは、完璧な人間だけが持つ称号ではなく、不完全さや失敗を抱えながらも、人を思い、誠実に関わろうとする姿勢の中に宿るものなのではないか、と。
世の中には「何かを得るには、それと同等のものを差し出さなければならない」という考え方があります。私が失った家族関係は計り知れない痛手でしたが、その一方で、義理の家族や親戚との温かなつながりを与えられた。これを「人徳の報い」と呼べるかはわかりません。ただ、神様が帳尻を合わせてくれたのだと受けとめることで、心が少し救われるのです。
仕事で信用を積み重ねるということ
家庭だけでなく、仕事においても「徳」と「信用」の関係は深いと感じます。業務の成果や技術はもちろん大切ですが、それらはあくまで枝葉に過ぎません。究極的に問われるのは、上司や同僚、顧客に「この人に任せておけば大丈夫だ」と思ってもらえるかどうかです。
望む仕事ばかりが与えられるわけではありません。ときに雑務も、理不尽に思える業務もあるでしょう。ですが、それを愚直にこなすことで「任せたら必ずやってくれる人」という評価が積み上がります。特に顧客対応、なかでもクレーム対応は、その人間性が如実に表れる場面です。相手の怒りや不満を正面から受け止め、できる限りの対応を尽くす。そうした一つひとつの積み重ねが、会社の信用を守り、自らの信用を築く道だと思っています。
信用は一朝一夕で得られるものではありません。しかし、一度積み上げれば、それは人生のあらゆる局面で支えとなり、思わぬ形で自分を助けてくれます。まさに「信用は最大の財産」と言われるゆえんです。
徳が運を呼び込む
振り返れば、実の家族との断絶という痛みがなければ、今の義理の家族との深い絆も、仕事における信用の大切さも、ここまで実感できなかったかもしれません。人徳や信用は、失敗や喪失を経てこそ、より鮮やかに浮かび上がるのかもしれません。
徳を積むとは、特別なことをするのではなく、日々の誠実な振る舞いを重ねることだと思います。人の話をよく聞き、約束を守り、感謝を忘れず、困っている人がいれば手を差し伸べる。そんな当たり前のことの中に、長い時間をかけて徳は蓄積されていくのでしょう。
そして、その徳が巡り巡って運を呼び込み、人生を好転させる。師匠の「それはあんたの人徳やよ」という言葉は、その真理を端的に示しているように思えてなりません。
今も私の胸には、家族との壮絶な別れの記憶が残っています。しかし同時に、今ある人間関係のありがたさも噛みしめています。仕事においても、信用を積み重ねる努力を続けていきたい。その両方を通じて、少しでも人徳というものを育んでいけるなら、失ったものにも意味があったのだと思えるのです。
今日は、トレードやお金の話ではないですが、毎日頭から離れないことだったので、言葉にしてみました。本日も、お忙しい中お読みいただき、誠にありがとうございました。
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