以前、Xにこんなポストをしたことを思い出しました。
本質をとらえているなら、無駄をそぎ落とせる。
だから写実であっても、抽象的に表せる。
逆に、無駄をそぎ落とし抽象化できるから、本質に迫れる。
これ、漣という、福田平八郎作の絵を日曜美術館で紹介していた時に、なんか本能的にピーンときて、ポストしていました。
その時の衝撃を、あらためて振り返り、深掘りしようと思いました。

ご覧になってわかるように、水面に広がる波紋が、ただ静かに描かれているだけの作品です。
でも、じっと見ていると、不思議と「水の気配」が伝わってくる。
冷たさとか、揺らぎとか、あの独特の静けさまで。
最初に見たとき、うまく言葉にできなかったけれど、
あとになって「ああ、これかもしれないな」と思いました。
トレードでずっとつまずいていた原因に、少しだけ触れた気がしたから。
■ 足し続けていた頃の自分
負けていた頃の自分は、とにかく「足す」ことばかり考えていた。
インジケーターを増やして、
手法を探して、
エントリー条件を細かくしていく。
安心したかったんだと思う。
曖昧なままだと怖いから、できるだけ情報で埋めようとしていた。
でも、やればやるほど分からなくなっていく。
同じチャートを見ているのに、
昨日と言ってることが違う。
さっき決めたルールなのに、気づけば破っている。
そんな状態が、ずっと続いていました。
■ 削ぎ落とされた波紋
『漣』を見ていると、あることに気づく。
水そのものは、ほとんど描かれていない。
光の反射も、質感も、細かい描写もない。
あるのは、波紋の繰り返しだけ。
それでも、ちゃんと水に見えるんです。
むしろ、余計な情報がない分、「ああ、水だな」とすっと入ってくる。
たぶんこれは、「削った結果」なんだと思う。
いろいろ描ける中で、あえて残したものが波紋だったのでしょう…。
これって、トレードにも似ている気がします。
あれこれ足していくと、分かった気になる。
でも実際には、判断が鈍っていく。
逆に、ある程度やり込んだ人ほど、
ルールがシンプルだったりする。
「これとこれだけ見てるよ」みたいな話を聞くと、
最初は拍子抜けする。
でも、その裏にはきっと、かなりの試行錯誤がある。
■ 抽象がないと、毎回迷う
トレードでいう抽象って、たとえばこんなものだと思います。
・これはトレンドなのか
・ただの押しなのか
・今はやる場面なのか、見送る場面なのか
これを、自分なりにシンプルに捉えられているかどうか。
ここが曖昧なままだと、
チャートを見るたびに判断が揺れる。
毎回、「今回はどうだろう」と悩むことになる。
それ自体が悪いわけじゃないけれど、
ずっとその状態だと、やっぱり疲れてしまう。
少しずつでもいいから、
「自分はこう見る」という軸ができてくると、
判断がほんの少しだけ軽くなる。
全部が分かるわけじゃない。
でも、「これは違うかな」と思える場面が増えてくる。
それだけでも、だいぶ楽になる。
伝わりますかね?この感覚…。
■ でも、抽象だけでも足りない
ここで、もうひとつ感じたことがある。
抽象だけを追いかけても、なかなか身につかない。
頭では理解しているのに、
いざトレードになると、うまくいかない。
これ、けっこうしんどい。
たぶんだけど、
『漣』もいきなりあの形になったわけじゃない。
実際の水を見て、描いて、試して、
そういう積み重ねがあったはず。
つまり、しっかりとした「具象」の経験がある。
トレードでいうなら、
・実際にエントリーしてみる
・負ける
・振り返る
・またやる
この繰り返し。
正直、地味だし、面倒くさい。
でも、この部分を抜かしてしまうと、
抽象がふわっとしたままになってしまう。
■ 行き来する中で、少しずつ見えてくる
最近になって、ようやく分かってきたことがある。
抽象と具象って、どちらか一方じゃなくて、
行き来するものなんだな、ということ。
トレードして(具象)、
振り返って(抽象)、
また次に試して(具象)、
そこで感じたことを言葉にする(抽象)。
この往復。
これを続けていると、
ある時ふっと、「あ、こういうことかも」と思える瞬間が来る。
大げさな変化じゃないけれど、
少しだけ見え方が変わる。
もし、この感覚に少しでも引っかかるものがあれば、
以前書いたこの記事も、たぶん同じ流れで読めると思います。
よりトレードに寄せた内容なので、実用的だと思います。
よかったらご覧ください。
■ 最後に
うまく言えないけれど、
『漣』を見てから、少しだけ考え方が変わりました。
全部を理解しようとしなくてもいいし、
最初から削る必要もない。
まずはやってみて、
あとから少しずつ整理していけばいい。
その中で、いらないものが自然と減っていって、
残ったものが、自分なりの「型」になっていくのかもしれない。
もし今、いろいろ詰め込みすぎて苦しくなっているなら、
ほんの少しだけ引いてみるのも、ひとつの手だと思います。
自分もまだ目的地に着いたわけではないですが、
あの波紋みたいに、少しずつ整っていけばいいなと思っています。
本日も、お読みいただき、ありがとうございました。


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